2014.07.28

題字:佐藤直樹 / 文:小泉真由子


大江健三郎を読む女たち 000 マーちゃんにみちびかれて

 大江健三郎が好きです。あんまり好きなもので、いつか大江健三郎について何かを書いてみたいとずっと思っていました。ずいぶんと長いことあたためてきた企画です。あたためてきた、といっても、特になにか行動を起こすでもなく、日々の暮らしに追われる中で、ふと思い出しては「なにか書いたら面白いだろうな…」と、ボンヤリ考えているだけで気がすんでしまうといった具合でした。

 大江健三郎の小説の好きな理由はいろいろあるのですが、ひとつあげるなら、大江が描く女たちが好きです。ならば、それについて書くのがいいのではないか、というのが、ここ10数年ほどボンヤリ考えているうちに、私の中でなんとなくまとまってきたことです。

 そうなると、まっさきに思いあたるのが、マーちゃんです。マーちゃんというのは、大江が描く女たちのひとりで、大江健三郎の娘がモデルになっています。マーちゃんの考え方や身の施し方は、これまで幾度も、私の人生において、よきお手本となってきました。そんなマーちゃんが語り手となって繰り広げられる連作短編集『静かな生活』の中に、こんなエピソードがあります。
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2014.07.15

ロゴ:平松るい / 文:細馬宏通


うたのしくみ Season2 第3回 二つの声の物語 — キリンジ『悪玉』 –

 さて、前の二回は男女のデュエットについて話したのですが、男女に限らず、複数で歌うということには、必ず「いつ、どちらが(あるいは両方が)歌うのか?」という問題がつきまといます。今回は、この問題を別の角度から考えるべく、あるバンドを取り上げようと思います。それは、キリンジです。

 キリンジは1996年から、堀込高樹・堀込泰行兄弟を中心とするバンドとして活躍し、2013年からは堀込高樹がバンド編成の新生KIRINJIを引き継ぎ、堀込泰行が単独で活動を始めました。
 二人の歌声は似ていますが、ごく主観的にその特徴を書くと、堀込泰行の声はより芯があって広いところで響くようであり、一方、堀込高樹の声にはくぐもった粘りがあり、より密室的な感じがします。
 兄弟時代のキリンジでは、多くの曲で堀込泰行がリード・ボーカルをとっていることもあって、キリンジが「デュエット」あるいは「デュオ」と呼ばれることはほとんどありませんでした。しかし、例外的に、二人がともにリードをとる曲があります。その一つが、今回取り上げる『悪玉』(作詞・作曲:堀込高樹)です。アルバム「」に収められたこの曲は、シングル・カットされていないにもかかわらず、ファンの間で人気が高い曲で、わたしの周囲でもこの曲をベストにあげる人が何人かいます。
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2014.06.23

ロゴ:平松るい / 文:細馬宏通


うたのしくみ Season2 第2回 にじむデュエット「銀座の恋の物語」

 細馬です。このシリーズ、Season2となっておりますが、ではSeason1はどこにあるのかというと、単行本「うたのしくみ」(ぴあ)となっております。絶賛発売中。

 わたしたちはもはや、デュエットという文化をカラオケなしに考えることはできません。いささか酒の入った時間帯に、歌っちゃいなよー、えー、やだよー、とかなんとか言いながら、結局引き受けさせられてしまうひとときの共同作業。担うべき役割は、ピンクと青で塗り分けられた歌詞となって文字列で現れ、メロディーとは裏腹の思いがけなくトリッキーな割り振りに、え、ここわたしの番なの? と驚かされつつも、歌い慣れない風情も愛敬のうち、座によっては誰も聞いちゃいなかったりしますが、それならそれでにくからず思っている相手とよろしく歌えばいいのだし、もし相手がまったくどうでもいい人間なら、義理と割り切ってさっさと片付ければよろしい。
 さて、そんな数あるカラオケ・デュエット・ソングの中でも、「銀座の恋の物語」(石原裕次郎&牧村旬子/作詞:大高ひさを、作曲:鏑木創)は、特異な位置を占めています。カラオケ経験者なら、老若男女を問わず聞き覚えがある、かかった途端に、その場にあやしいもやをかけ、いかにもスナック然とした雰囲気を醸し出す、あの独特の曲調。
 しかし、この曲をしみじみよい曲だと聞き入った経験があるかと言われると、さてどうか。むしろ、あいまいな、とらえどころのない曲という印象が強いのではないでしょうか。あ、また部長が歌うの? 誰と? もう誰とでもいいよ、間延びした歌詞にカラオケ特有のリヴァーブが存分にかかって、ほぼ何を言っているのかわからない、にもかかわらず部長はどうやら、そのもやもやと何を言っているのかわからない感じを相手と楽しんでいる…
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2014.06.09

題字・バナー:西島大介 / 文:宮崎貴士


ポール・マッカートニーを想像してごらん 第2回「オレが選んだパートナーはヨーコとポールだけだ」by ジョンレノン

例えば、海の上で
「舟が沈みそう!脱出ボートには1人しか乗れない!
あ、愛するあの人が自分で海に、、、、ワタシだけが生き残った、、」
と、なったりして、貴方ならどう感じます?
映画「タイタニック」みたい感じ。

「自分は残されてしまった、、」
それは辛すぎる。
それは語りたい、、伝えたい、自分の癒しのために
もしかしたら誰かのために、。
そんな「物語」は映画の中だけではなくって。

思えば、失うばかりの人生だった、と。
14歳の頃に母親を病気で亡くす。
28歳の頃に愛するバンドを失う。
38歳では最も信頼する相手、尊敬していた親友を突然亡くす。
55歳で伴侶を母親と同じ病気で亡くす。
現在72歳。
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2014.06.03

題字・バナー:西島大介 / 文:宮崎貴士


ポール・マッカートニーを想像してごらん 第1回 「ポールの悪口を言っていいのはオレだけだ」byジョンレノン

「ザ・ビートルズ」

僕はこのバンドの名前をどこかで読んだり聞いたりするたびに
今だに不思議な気分になるのです。
変な話ですが「The Beatles」という表記を見ても、あまり不思議さを感じないのに、カタカナで「ザ・ビートルズ」や「ポール・マッカートニー」、「ジョン・レノン」と表記されたり、その名前を日本人の誰かの口から聞いたときに不思議な感じになるのです。
なぜなんでしょう?僕だけの話なのかな?。

「なぜ君はポール・マッカートニーという人を知っているの?
いつ知ったの? 何を知ってるの?」って。
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