#8 カジノに行ってもだいじょうぶですよ

サワディーカップ、いしいです。

以前ラオスで取得した観光ビザでの滞在期限が間近に迫ってきたので、カンボジアに日帰りで行ってきました。

前回間単に書いたのですが、僕が取得したダブルエントリービザは期限内に一度出国し、再度入国すればビザが更新され、滞在期限が60日間延長されます。しかし、あくまでも期限内に再入国まで済ませねばならず、例えビザの期限内に出国したとしても帰国するのが一日でも遅れたらビザは更新されません。
別に出国先はどこの国でもいいのですが、バンコクから一番近いところにある隣国ということでカンボジアに行くことに決めました。

当初は、どうせカンボジアに行くのだから一泊ぐらいして、アンコールワットを観に行ったり、少し観光でもしたいなと考えていました。しかし、銀行にお金を下ろしに行くのが遅れるなどして、結局出発できるのがビザの期限が切れるまさにその日に。一泊もせずに日帰りで帰って来なければならなくなってしまいました。

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国鉄のプラットホーム

家の最寄り、パヤータイ駅にはバンコク市街を走る「BTS」、スワンナブーム国際空港へと繋がる「エアポートリンク」という2つの高架鉄道と、地を走るディーゼル式の国鉄の乗り場があります。
この国鉄が行き来する音が僕の部屋からでも定期的に聴こえてくるのもあり、いつか乗ってみたいと気になっていました。どうやらカンボジアとの国境の町、アランヤプラテートまで行けるようなので、これを機に利用してみることにしました。

アランヤプラテートへと行く国鉄の便は一日に2本のみ。
朝の6:10発か、昼の13:13発のものに乗らなくてはなりません。片道に5時間もかかるようなので、帰りの時間のことを考えると早朝の便一択になります。
これまでの僕の人生では、大事な予定のある日に寝坊をして周りに多大な迷惑をかけることが多々ありました。今回もまた無事に起きられる自信がなかったので、前日は徹夜して眠らずに向かうという安全策を講じることにしました。

そして翌朝、気がつくとノートパソコンに突っ伏していました。
目の前のモニター右上に表示されている現在時刻を慌てて確認すると、6:20。既に乗車予定だった列車の出発時刻から10分が経過していました。
いくらタイの鉄道は遅れがちとはいえ、着替えを済ませて急いで家を出たところで間に合うはずもなく、別の方法で向かわねばなりませんでした。

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そこで利用したのが「カジノバス」。
アランヤプラテートから出国した先、カンボジア側の国境の町ポイペトにはカジノがあります。そこの利用者のためにバンコクからアヤンプラテートまでを往復運行しているバスのことを通称カジノバスと呼びます。
バンコクのセントラルパーク、ルンピニー公園の脇からこまめに出ているとのことなので行ってみたのですが、目印などはなく、乗り場がなかなか見つかりません。平日は運行していないのではないかと少し不安になりながらウロウロしていると、しばらくして派手な色のパンツを履いた細身の男性に「カジノ?」と声をかけられました。どうやらカジノバスのスタッフらしく「もう少しでバスが来るからその辺で待ってろ」とのこと。
見渡してみると、平日の朝、通勤ラッシュの頃合いにもかかわらず、明らかに仕事場に向かうわけではなさそうな半袖、半ズボン姿のタイ人のおっさんが何人か。彼らもカジノバスを待っているみたいです。


View 全然だいじょうぶですよ! #8  バンコクからアランヤプラテートまでの道のり in a larger map

やってきた2階建てバスになだれ込むように乗車し、空いている座席に座ると間もなく発車。運賃として200バーツが徴収されました。乗客のほとんどがタイ人のおっさん、おばさんなのですが、日本のおっさん、おばさんがパチンコ屋に行くような感覚でカジノに行くのでしょうか。
高速道路のサービスエリアで2度のトイレ休憩を挟み、およそ3時間ほどでアランヤプラテートに到着しました。

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バスを下車したら、ほかの人の後について歩いて出入国管理局へ行き、出国手続きをします。タイの出国手続き後はカンボジアの出入国管理局まで数100メートルの距離を歩くのですが、その道中にはいくつもの古びたカジノが建ち並びます。
日本人はカンボジアへ入国する際にビザを取得する必要があるのですが、あらかじめカンボジア外務国際協力省のwebサイトで事前にe-VISAを取得しておいたのでスムーズに入国手続きが完了しました。現地のビザオフィスで取得することもできるのですが、料金を水増しで請求されたりすることもあるらしいです。

今回の目的であったタイの一時出国は果たしたので、少しポイペトの町を散策した後、来た道を戻ってカンボジアを出国、行きに見かけたカジノで少し遊んでみることにしました。
いくつかカジノを巡ってみたけれど、客はカジノバスの中と同じくタイ人のおっさん、おばさんばかり。平日だからか、若い人はほとんど見かけません。もっときらびやかな電飾が施されていたり、高級感のあるカーペットが敷かれていたりして華やかな場所だと思っていたのだけれど、なんだか薄汚れた場末のゲームセンターみたいな雰囲気です。カジノチップを使用せずに、賭け金を現金でテーブルの上に置く、さながら地下賭博場のようなカジノもありました。だいたいどこも、ずらりと並んだスロットマシーンのコーナーには人がほとんどおらず、みんなテーブルゲームに興じています。

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カジノそれぞれの良し悪しが僕にはわからなかったので、適当に入ったカジノで1000バーツをチップに交換。ルーレットやタイサイ、3カードポーカーなど様々なゲームがあるなか、一番人気があった「バカラ」というゲームをしてみることにしました。

バカラは、ディーラーがある規則に則って「プレーヤー」と「バンカー」という2つの区画にトランプカードを置いていき、カードの数字の合計下一ケタが、プレーヤーとバンカーのどちらがより9に近いかを賭けるゲーム。賭け方にはいくつか種類があるみたいなのですが、細かいルールは知らなかったので二者択一の賭け方しかできませんでした。

ギャンブルに対して映画やマンガなどで繰り広げられるような、手に汗握る熱い駆け引きを期待していたのですが、バカラが運任せのゲームだったのもあり、実際はただただチップのやり取りの反復でしかありません。
隣の席に座った60過ぎくらいのおばあさんがやけに盛り上がっていて、いちいちタイ語で僕に話しかけてきたのですが、言っていることが理解できなくて良い反応できず、終いには「タイにいるんだからタイ語喋れよバカ」というような意味合いのことを言われました。
元手が少なかったのと、小心者の性格から大勝負を打つようなことはできず、チマチマと小額ずつ賭け続けた結果、1時間やって儲けた金額は500バーツ。元手から1.5倍になったと考えるとかなり得したみたいだけれど、往復の交通費にしかなりませんでした。

カジノに行くならばお金をゴミみたいに扱える大金持ちか、どうしても稼がなければならない窮地に陥ったときの方がもっと楽しめそうな気がします。


今回のおすすめTEE

仙台市営バス
仙台市営バス / 塚田哲也

カジノバスの座席の柄はもう覚えていないけれど、仙台市営バスの座席の柄ならこれで確認できます。

画・文 : いしいこうた

        
いしいこうた
いしいこうた
1988年生まれ。編集者。Webマガジンの編集などを経て2013年3月より意味もなくバンコクへ引っ越す。編著書に『GIF BOOK』(BNN新社)など。このサイトの管理も担当。