#5 3万円でだいじょうぶですよ

サワディーカップ、いしいです。

バンコクの街中を走る高架鉄道、BTSのパヤータイという駅から徒歩3分の駅近物件に僕はいま住んでいます。

パヤータイからは、ショッピングモールや映画館が集まるバンコクの中心地、サイアムへもBTSで2駅。歩いても20分程度。毎週末開催される市場、チャットチャックマーケットの最寄り駅であるモーチットへは10分程度で行かれます。スワンナブーム国際空港へと繋がる電車、エアポートリンクもこの駅から乗ることができます。BTSの通っていない旧市街方面へは、家から徒歩15分ほどのところにある船着き場から運河ボートで行き来ができます。

近所には大きなスーパーも観光名所もないけれど、主要なところへは簡単にアクセスできるので、住むには便利なところです。サイアムが東京で例えると渋谷だとよく言われているのですが、パヤータイはさしづめ代々木あたりでしょうか。

家賃は11,000バーツ。
日本円にするとおよそ3万4000円。

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東京の都心部でこの値段ならば4畳半で風呂無し、共同トイレの物件かもしれません。しかし、バンコクなら共同プールつきです。更に日曜祝日を除く毎日、掃除と洗濯をしに来てくれる、タイ語では「メーバーン」と呼ばれるお手伝いさんもついてきちゃいます。
間取りは10畳弱のリビングダイニングと6畳ほどの寝室。ちっちゃなキッチンと、手入れの行き届いた観葉植物が並ぶバルコニーもあります。
毎日掃除をしに来てくれるお陰で、この家ではまだゴキブリに遭遇したことはないし、アリも玄関近くで数匹くらいしか見たことがありません。もう、ノートパソコンの命の危険を感じることはなくなりました。
先日は、洗面台のパイプが水漏れをしていたのと切れている電球があったのを、午前中に家賃を払うついでで管理人に伝えたら、その日の昼ご飯を食べに外出している間に全て対処されていました。しかも修繕費は家賃に含まれているみたい。
マジで快適な住環境です。
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バンコクに引っ越して来る直前までは、東京で大学時代の友人たちと4人で一軒家を借りて生活していました。
池袋から地下鉄で3駅の、小竹向原という駅から徒歩3分ほどのところだったのですが、仕事帰りは地下鉄の終電に間に合わないことが多く、ほぼ毎日、池袋駅から40分ほど歩いて帰宅していました。
2階建ての一軒家のなかで、1階リビングの隣、6畳ほどの一室が僕の部屋でした。全然日光が入ってこないので、常に湿度が高く、紙を置いておくとすぐにふやけてしまうほど。僕自身はプライバシーとかあんまり気にしないからよかったのですが、リビングと僕の部屋を隔てるものはガラス戸のみなので、常に部屋の中が丸見えの状態。洗濯機置き場への通り道にもなっていたので、同居人が出入りすることも多かったのでした。

そのときに払っていた家賃は一人当たり3万円
払う金額はそんなに変わらないのに、こんなにも生活が変わるのか。東京での、あんなジメジメとしたキノコの養殖場みたいな部屋での生活にはもう戻りたくないですよ。

この家に住み始めてから2ヶ月が経つのですが、いまだメーバーンさんとの付き合い方がよくわかりません。
うちの諸々をやってくれるメーバーンさんはかなりのおばあちゃん。機嫌によって仕事の出来が左右されるようで、普段は部屋の隅々までキレイにしてくれるのですが、たまに手抜きだなという日もあります。かと思えば本棚の並びまで気にして揃えてくれるようなときもあり、どんな掃除の仕上がりになっているのかいつも楽しみです。
また、毎日お昼頃に掃除をしに来てくれるのですが、僕が中に居る間は家に入ろうとしません。日中はだいたい家に籠もりきりなので、昼食を食べに外出する時間をすこし長めにとり、メーバーンさんが掃除する時間を確保しているつもりなのですが、タイミングが合わずに掃除をしてもらえないことも度々あります。ちなみに昨日、今日は掃除をしてもらえませんでした。
引っ越して間もない頃、一度だけ僕が室内にいるときに掃除をしに来てくれたこともありました。そのときは、掃除の邪魔にならないように気をきかせたつもりで、コーラを買いに外に出たのですが、僕が不満に思って外に出たと勘違いしたのか、それ以後僕が室内にいる間に掃除をしに来てくれることはありませんでした。
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ある日帰宅すると、メーバーンさんがグラスを落として割ってしまったらしく、台所に割れたグラスと置き手紙が残されていたこともありました。
タイ語は全く読めないので自力では判読不能だったのですが、知り合いによるとどうやら「割っちゃってごめんね」みたいなことが書いてあるとのこと。2つしか用意してなかったうちのひとつが割れちゃったのは痛いけれど、その辺で買った安いグラスだし、大して問題なし。お返事を書きたいけれど、タイ語の読み書きはできないのでグーグル検索の力を借り、「全然だいじょうぶですよ!」の意味を込めて「ไม่เป็นไร ครับ(マイペンライカップ)」と書き足して置いてみました。
以前、注文を紙に書いて店員に渡すシステムのタイ料理屋に行ったときにも、メニューの文字を真似して書いたことがあります。そのときは注文した3品のうち2品は違う料理が来たけど、しかもそれが激辛で食べるのが大変だったけど、ちゃんと3品は運ばれてきたし、今回もどうにか伝わるでしょう。
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すると翌日、割れたグラスと一緒に、置き手紙がゴミ箱に入っていました。
ちゃんとタイ語を勉強してメーバーンさんと仲良くなりたい。


今回のおすすめTEE

The Guardian Monster 5
The Guardian Monster 5 / 八重樫王明

ビキニの女性がプールで泳ぐのが僕の部屋からたまに見られます。
少しドキドキします。

画・文 : 伊藤ガビン

        
伊藤ガビン
伊藤ガビン
編集者。原稿は遅いが、メシを食うのは異様に早い。紙・web・映像・家具など、あらゆるものを編集するが、最近はもっぱらこのサイトの編集に精を出している。実家はスーパー。280円弁当が評判。