寺田克也 ココ10年展

こんばんは、伊藤ガビンです。
めっきり寒い季節になってきましたねー。
寒くないか。
むしろ暑いか。
いや、寒いか、暑いかは、この文章をいつ読むかによって、あるいは読む地域によって違うのでは? どうすれば!? どうでもいいでーす。
どうせ毎年暑くなったり寒くなったりすんだろ!
巡るんだろ季節〜〜このやろう!

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さて今日は、これを書いている現在京都マンガミュージアムで開催中の展覧会寺田克也 ココ10年展について書きます。書かせてください! お願いします!!これこの通りです!
だって今月末(~6/30)で終わっちゃうから(またかよ。告知おっそ〜)

この展覧会は京都マンガミュージアムというおそらく京都にありそうな雰囲気でありながら実は京都にある、マンガがすごくたくさんおいてありそうで実はおいてあるミュージアムで行われてる寺田克也さんというイラストレーターの展覧会です。
寺田克也さんについて私の方からざっくり説明していただきますと、1963年生まれの男性です。
以上になります。(ググッて)

そんな寺田さんの展覧会なんですが、ひょんなことから僕が監修っぽいことをしております。ぷぷぷ。

この展覧会はー、どういう展覧会かっていうと、寺田克也さんの日本初個展です。でもあの人ほらたくさん絵を描くもんで、たーくさん、こーんなにあるから、もう見せ切れないんですよ!
なので、ココ10年のものに限って展示しよう!ココイチと間違えてカレー食べに来る人いるかもしれないし! ついでにテラダカツカレーっていうメニューも作ろう!
*ほんとに入り口のカフェで出してもらってます。
*味はいたって普通という感想が(苦笑)。

展覧会の内容はですね、まずメインの出力ゾーン(展覧会なのに出力ゾーンて大胆に言うところ、寺田さんっぽい)に、ココ10年に渡って主にデジタル画材で描かれた「絵」がドバドバドバッと展開されております。
見ての通り、これは襖に貼りこんで、屏風のように置いてみた。大迫力かつ迷路な感じでこれ大正解だったな。

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会場こんな感じ。

去年?のいつだったから、阿佐ヶ谷の呑み屋で寺田さんに今度展示やるんですけどね、ってソーダンされた時の感想は「オレはやることないな〜」ってなもんでした。
素材がいいんだから、並べりゃいんじゃん、それだけでジューブン! っていうね。まあ、実際その通りなんですよ、素材がイイ時はそのまんまを見せればいい、ってこれあらゆることの基本なわけで。なるべく何もしない時ほどうまくいく。

と、まあ、そういうきらーくな気分で、会場の下見に行ったんですよ。京都でうまいもの食べたいし。
そしたら案外「ふつーに絵を見せる」状態を作るのがタイヘンなハコだった。
京都マンガミュージアムは、明治初頭に建てられた小学校の建屋を使った施設なんですね。
だから、その雰囲気を利用して絵を並べればそれはそれは素敵な展示になるだろうと目論んでおりました。
だけど実際には建物は由緒正しすぎて、逆に直接壁に絵をかけたりすることが難しかった。
味気ないパネルが立ってたり、えらいマッシブな照明がぶら下がってたり。
「普通の状態」がないので、それをまず作らねば! という感じですね。
でもここをホワイトキューブにしようと思っても、それはそれでムリだし、お金もかかるというわけで、うーむと悩んでこの日に決めたことは「ちゃんとやりましょう! これはちゃんとやらないとダメです!」ってだけだった。もう喉かわいちゃったしね。悩んだ時はグビグビするとだいたい解決します(喉のかわきが)。

「ちゃんとか〜〜。どうやってちゃんと?」とか思いながら、東京に戻ってきました。

うちの会社(ボストーク)は、実は展覧会のプロデュース業をずーっとやってるんですわ。僕じゃなくて、社長の乾義和の本業がコレなので。
てわけで、乾氏に相談して、あー、じゃー、ヒグレ(HIGURE 17-15 cas contemporary arts studio)という展示のプロフェッショナルな会社の有元くんを巻き込もうって話になって、あとデザインまわりを大岡寛典さんにお願いすることにした。なぜなら編集者がやるようなことまで全部やっちゃうんですよ、この人。この膨大な作品をどう切り分けて展示するのかを相談するのに彼ほどぴったりな人物はいない。あとハンズアウトを作ったり、カタログ作ったりもしなきゃだし! こまった人だなあ。万能!

ということで、みんなでミーティングをしたのだった。予算全然無いけどって話とともに。狭い席でハンバーガーもぐもぐしながら。
そしたら有元くんが、
「京都って、お寺にたくさん古い襖が余ってるんですよ」
とニヤリとするので、そーだそーだそれだー! ってことで襖の方向を探ってみることにしたんですよ。
僕も知り合いで、お寺で襖使った展示の経験ある人に聞いてみたりしましたよ。
どこに連絡すれば入手できるのか。
前にあの展示やった時はどうやって手に入れたの?
とかって。
そしたら返ってきた答えが
「ヤフオクっす」
ってことで、京都全然関係なかった! あんれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?
だんみだ〜〜〜〜〜。

まあ、それで頓挫しかけたわけだけど、京都マンガミュージアムのスタッフが京都の古道具屋さんを駆けずり回っていい味の襖をたっぷりと探しだしてくれたんですよねええ。これは本当に助かった。

襖でいける! と思ったのは、ヒグレのアトリエで襖に貼ってテストした時。
大きさが実にいい。すごく迫力ある。
襖に入れるってことは、ある意味では出力という名の原画を「装飾」してしまうことになり兼ねないんだよね。でも装飾は寺田克也の絵を見せるためにはもっとも必要ないもの。アクリルのケースや、ポスターフレームじゃなくて、襖を選んだのは、できるだけ剥き出しの寺田絵を見せたかったから。
だから襖という選択が正しいのか、正しくないのかは現物を見るまで自信がなかった。
でも、見たらもーーこれがすごくよかった。
見た瞬間、わー、これじゃん! できたできた! って拍手して呑みに行くことしましたよね。
さらに、この時寺田さんがぼそっと言った一言がよかった
「これオレが描いているサイズですね」って言った。

「オレが描いているサイズ」って最初は意味がわかんなかったんだけど、
つまり、こういうこと。寺田さんはPainterというデジタル画材を使って30インチのモニターで描くことが多い。
でも30インチに絵の全景が映る状態でずっと描き続けているわけではなくて、時に拡大して描いているわけですよ。それってつまりアナログ画家(そんな言葉あんのか)が絵から離れて全体のバランスを確かめ、近寄って細部を描く、その引いたり寄ったりの運動のこと。デジタル画家は絵を拡大、縮小することで寄ったり引いたりしているわけです。
この寄って、実際に筆を走らせているサイズが、襖に出力したサイズと「同じ」だと言ったわけです。
しびれますなあ。つまり襖に貼ったこれらの絵は、デジタル絵には本来ないはずの「原寸」だった!!
この時にオレは、ああ、これは原画の展示になったな! と思い、ビールをもう一本注文することになるわけですね。

寺田さんの最近の描き方は、Painterの油絵の筆でストロークが荒々しく残るように描いています。
ということは、ここで見られる「原画」には寺田克也のストロークが見える。息遣いが見える。てことはつまり、寺田克也の手の躍動を見ている僕らはトレースできるってこと。
印刷物じゃなくて、展覧会で絵を見ることの悦楽のひとつは、絵を見ることで絵師の体の動きを自分の体に呼び込むことじゃん。それができるなーって思ったんだよ。よかったよかった。もう展覧会できたも同然だー! となりました。

といいつつ、実際の展示が出来上がるまでには、いろいろありましたが、小さい創意工夫を積み上げてこの展覧会ができましたとさ。なかなかよい展示なのでは!

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もうひとつの部屋は「生ゾーン」。手描きの新聞小説の挿絵のすべてが! こっちはもう言うことないんですよ。ほんとに生の絵だからねー。

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デジタル画の下絵なども展示。こういうレイアウトも現場で大岡寛典氏がやってます。うまいッ!

もうダッシュで作った今回の図録
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寺田克也ココ10年 KATSUYA TERADA 10 TEN – 10 Years Retrospective
これも大岡事務所のデザイン仕事。地獄のような早さ。編集はPIEブックスさんのナイスな仕事!

て書いたら、↓とのこと。

ちなみに会場で配っているタブロイド新聞は僕が書いていて、展示作品全部に対してキャプションつけているんだけど、基本的には図録と内容がかぶってないというムダな努力をしていますので両方よく読んでね!

新聞小説「ガソリン生活」のアナログ画の方はこっちにまとまってます。
寺田克也式ガソリン生活
新聞小説の挿絵だけの本なんて見たことないねー。

あ! そうそう、今回はいろんなオリジナルグッズも作られまくっているんだけど、個人的に嬉しいのはコレ。
寺田克也のふんどし
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僕はune nana coolとかLuncHなどのワコール系のオシゴトもいろいろしてまして(意外?)、ワコールは京都にありますから、寺田展が決まってからソーダンしてみたらあれよあれよと話がすすんで、ふんどしが出来た!
あー、おもしろい。

はい、いつもの通り、寺田さんのTシャツ各種、TEE PARTYでも取り扱っております!
寺田克也半袖店
どうぞ〜。

わたしのラクガキ帳
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あ、とみさわ昭仁さんによるこの展示の紹介記事も面白いよ!

画・文 : 伊藤ガビン

        
伊藤ガビン
伊藤ガビン
編集者。原稿は遅いが、メシを食うのは異様に早い。紙・web・映像・家具など、あらゆるものを編集するが、最近はもっぱらこのサイトの編集に精を出している。実家はスーパー。280円弁当が評判。