#1 心配はしなくてだいじょうぶですよ

サワディーカップ、いしいです。

これまで東京でmodern fartの更新作業や書籍の編集のお仕事などをしてきていたのですが、今年の3月に特に理由もなくタイ、バンコクに引っ越してきました。本当になんの理由も目的もないので、毎日ダラダラと過ごしています。暑くてなんのやる気もしません。

怠惰に寿命を消費しているだけなのもアレなので、ここで連載をしないかというお話を頂き、こうやって書き進めているのですが、暑くてくじけそうになってきました。

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そもそもタイに引っ越すことになったきっかけは、2012年8月終わり頃のある日のこと。厳しい残暑の中、ミュージシャンの戸田誠司さんが運転する自動車で、一緒にお仕事をさせて頂いている編集者の古屋蔵人さんと、当時通っていた秋葉原にあるオフィスから世田谷に向かっていたときでした。
それまで他愛も無い会話をしていたのですが、古屋さんが何の脈略もなく
「いしい、タイに引っ越したらどうか?」
と言いだしてきました。あまりの突然の言葉に、この人は何を言っているんだ、冗談にしても唐突すぎてあんまり面白くないなと思いながら、なんと返答するべきか言葉を探していると、矢継ぎ早にタイ人の平均月収、首都バンコクの街並だとか具体的な話をしだし、しまいには引っ越すなら毎月いくらか援助する、とまで言い出すものだから、あ、これは本気で言っているのだと分かり、ちょっと気持ちが引き気味なところで戸田さんまでも
「いいじゃんいいじゃん、いしい行きなよ」
なんて煽ってくくる始末。逃げ場の無い車内でタイ行きがグイグイと迫ってきました。

自分が海外移住をするなんて、それまで現実的なものとして全く考えたことはなかったし、ましてやタイには一度も行ったことがない。タイについては、古屋さんが以前にバンコクに行ったときの話から、人間の死体が展示されているというシリラート博物館があるということくらいしか印象にないし、あとは暑そうなイメージ。タイ料理もお米はインディカ米でパラパラしてるということ、なんにでもパクチーが入っていそうということぐらい。具体的な料理も目玉焼きとそぼろ肉がのっかったご飯や、グリーンカレーしか思いつかないけれど、食べられなくて困ることはなさそう。
どんな所か全然よくわからないけれど、海外に引っ越すこと自体すごく面白そうなので即決で「YES!」と答えたいところではあったのですが、一応社会人なのでいろいろ責任があったりして、僕が日本からいなくなったら困るようなことはないか、脳内でリストアップしてみました。

仕事:インターネットが繋がれば問題ない
家族:ほとんど疎遠
友人:あまりいない
恋人:いない

結果、日本に残らなくてはならない理由はひとつも見つからなかったので、タイ行きを決めました。ただ、仕事の都合で実際に引っ越すのは年度が変わる3月以降となりました。 

こうして移動中の車内でタイ行きが決まってからおよそ2週間後、早く親に連絡しなさいとまわりの人にしつこく言われたので、しぶしぶながら母親に報告。電話をしていろいろ聞かれても面倒くさいだけなので、SMSでしたやりとりをキャプチャしたのが冒頭の画像です。

タイへの引っ越しについて羨ましがってくれたり、後押ししてくれる人はいるけれど、別離に関して感傷的になり、寂しがってくれたりするような人は誰一人として僕の周りにはいなくて、改めて自分の人間関係の薄さを感じました。


今回のおすすめTEE

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タイは年中夏なので、ずーっとTシャツを着て生活をしています。modernfartと兄弟サイトのようなTEE PARTYは「転送コム」というサービスを利用して海外発送も可能なので、こんどバンコクから注文してみたいと思います。

画・文 : 伊藤ガビン

        
伊藤ガビン
伊藤ガビン
編集者。原稿は遅いが、メシを食うのは異様に早い。紙・web・映像・家具など、あらゆるものを編集するが、最近はもっぱらこのサイトの編集に精を出している。実家はスーパー。280円弁当が評判。