大阪と東京に離れて暮らすチャンキー松本&犬んこ夫妻の奏でるけもじストーリーですよ   ( 第1回から読む )

第7回 虫


今年の夏は旅ばかりの日々です。

8月前半、滋賀県の琵琶湖の北に位置する「湖北」という場所へ農業見学に行ってきました。その地域で仕事をされている家倉さんという30代前半の男性から農業について学んできました。

家倉さんの田んぼを覗くと、水に覆われた地面にはたくさんの生き物が見えます。バッタ、アメンボ、カエル、メダカや蟹、ドジョウなど…稲穂の周りをそれは気持ちよさそうに赤トンボが飛んでいます。家倉さんがメダカの稚魚の大群を見つけ、嬉しそうに僕に話しかけてきました。

 
 
「この田んぼに生き物が見える様になるまで五年かかりました。今日はメダカ達がお客さまをお招きしてるんですね。こんな数のメダカ達が見れるのは今日が始めてですから。」

家倉さんの幼い頃は田んぼに生き物はほとんどいなかったそうです。

 
田舎育ちの僕は田んぼに生き物がいるのが当たり前でした。通学路は田んぼに囲まれていたので、よく覗いては虫をつかまえて遊んでいました。

夏休みって暇な時間も多く、なんや外へ出ては用水路にいるザリガニやトンボを取るぐらいしか遊ぶこともなかったように思います。

 
 
「これで近所の子供達が田んぼを覗くはずです。子供達は生き物を見つけるのがうまいですからね。」

 
 
次の世代にも農業の楽しさを伝えるためには、虫や生き物が田んぼに戻ってこなければいけないという想いで、家倉さんは同世代の仲間達と農業で地域を活性化させる為に仕事をされていました。

 
 
それから一週間後、東京西荻の妻の家にやってきますと庭が荒れていました。虫に噛まれやすい体質の妻は梅雨ごろからダニに悩まされていますが、掃除をしないとダニはさらに湧いてくるのですが…。小さな庭は雑草だらけで、一角にある小さな木達は長いツルを持った雑草に覆われていました。

「こりゃダメだ」と刈り込みばさみで雑草生い茂る庭に降り立ちますと、そこは蚊や団子虫青虫毛虫、天道虫に蝶々、蝉の抜けもあり、また期待して植えたピーマンやきゅうり、観葉気分で置かれた葉の伸びたサツマイモには、折り紙で折ったような気持ち悪い虫がギッシリとうごめいております。

まさに虫天国!そんな中を切って切って切りまくり、ゴミ袋十個分の量を刈ったのです。まさかこの夏の暑い日に東京へ来て虫と格闘するとは思いませんでした。

たくさんいた虫達は知らない間に姿を消していました。虫はあっいう間に湧いてきて気が付くと何処かへ消えています。虫はどこからきてどこにひそんでいるんでしょう。そんなことを考えだすと虫が夢にまで出てきそうです。

 
チャンキー松本

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写真・文 : 青空亭 (チャンキー松本・いぬんこ)

        
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青空亭(チャンキー松本・いぬんこ)
アーティスト、チャンキー松本と挿絵師いぬんこの夫婦ユニット。 チャンキー松本/イラストレーター/切り似顔絵師。著書に「まるい家」「宇宙船イヌミ」他。 http://kamikirichanky.blogspot.jp/ いぬんこ/挿絵師。NHKこども番組「シャキーン!」他、雑誌や装画等に絵を描く。著書に「おかめ列車」他。 http://inunco.blogspot.jp/

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