お金がかからなくて空いてて面白い公共施設=ハコモノを求めて節約ミセスが子連れで日本中をうろちょろしまーす!   ( 第1回から読む )

第19回 麻績村立聖博物館

夏です!山です!信州です! どう転んでもさわやかにしかならないはずのこのシチュエーションを裏切るような風変わりな村立の博物館があると聞き、長野県・聖高原の湖畔までやってきました。

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山の中に突如現れたる戦闘機(本物)。ここはいったい?

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こちらは明治10年建造の小学校の校舎を移築して設置された麻績村立聖博物館。麻績村の民俗資料などを収めた本棟と、戦闘機などを展示する別棟の航空資料館から構成されています。

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C46型輸送機の操縦室の実物。中に入って自由に触ることができますが、風化した無機物の放つ死の匂いにおびえて子供は入りたがりません。

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操縦室は下から見るとこんな感じ。飛行機の頭部(?)と明治時代の小学校。前衛美術作品と言われたら信じてしまいそうなシュールな光景です。

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夕陽に光るジェット戦闘機F-104J

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平和を象徴するかのように咲き誇る黄色い花々と山間の湖、そしてジェット戦闘機F-86F。白昼夢のような不思議な雰囲気。まるで戦時中のパイロットが故郷を思うあまりタイムトリップして平和な時代にさまよい込んだかような……。

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軍艦「陸奥」の主砲。これは航空資料じゃないような。近くにはなぜこれを陳列したかを筆で記した看板がありました。「戦争により日本全土の総てのものが悲惨な不幸をなめ尽くしたが、その代表的なものの一つは戦艦陸奥の爆発!による最后であった」「そこで平和に徹する象徴として悲惨なる最后を遂げた戦争被害の縮図とも云える戦艦陸奥を代表する主砲を陳列して戦争の悲惨さを回顧し平和に徹する信念を培うことが第一の目的である」。なるほど。

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主砲の中ものぞけます。これはレア体験。

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そしてなぜか機関車D-51も。どうすれば車一台通るのがせいぜいの細い山道を通って機関車がここにたどり着くことができるのか。ここでは何もかもが不思議……。

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航空資料館の中へ。古い航空関連の廃品が雑多に展示されています。男の子の兄弟が「ねえねえこれなあに」とはしゃぎながら聞いていましたが、「さあ…お母さんこういうの詳しくないからわからないわ」とお母さんは戸惑い気味。ですよねえ。

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ハンドメイド感あふれるプレートで航空機発達の歴史を学べます。

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航空機のプラモがずらり。うすうす感づいていましたが、全体的にここ、当時の村長さんの趣味の集大成なんじゃないか。

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昭和12年、神風号に乗って東京〜ロンドン間を飛行し世界航空記録を樹立した長野県出身の「飯沼飛行士」が大フィーチャーされています。昭和16年にマレーの飛行場でプロペラに当たって亡くなってしまいましたが、英雄だったため長らく「敵と戦って名誉の戦死」を遂げたことになっていたそうです。

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海に落ちたパイロットを救うための救命装具。東北地方の祭で活躍しそうな顔立ちです。

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パラシュートを背負ったマネキン。なんか怖い!アヒル口なのに!

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超音速ジェット戦闘機スターファイターのエンジン部分、そして仏像。なぜ、これとこれが、ここに。もうそんな問いを発するのもバカバカしくなるくらい両者ともこの地になじんでいます。

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操縦系統教育用のフライトコントロールシステム。「どうぞ自由に乗って動かして下さい」とありますが、誰も乗ろうとしません。

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民俗資料コーナー。岩石類の標本や江戸末期から昭和中頃まで使われていた養蚕道具などが展示されていました。

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外に出ると一歩踏みしめるごとにバッタが飛び交う芝生の広場に。

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ちょっと古めの遊具もあるので、「最近の公園は危険な遊具が消えてけしからん!」とお嘆きの諸兄もお子さんと一緒に懐かしいタイプのアスレチックやシーソーなどを楽しめますよ。

まとめ

設立された昭和46年のまま時が止まっているような博物館。牧歌的な高原の風景と、かっこよく塗装しなおされてはいるものの野ざらしで傷みを隠しきれない軍用機類のギャップは、確かに平和のありがたみを感じさせてくれます。飛行機好きのお子さんをだましうちのように連れて行って、平和教育を施してもいいかもしれませんね。
(2010年8月7日訪問)

麻績村立聖博物館
住所 長野県東筑摩郡麻績村麻聖5889-1
交通 JR篠ノ井線(松本方面へ) 聖高原駅から村営バスで17分→バス停「聖湖」下車徒歩5分。
TEL 0263-67-2133(聖高原観光案内センター)
開館時間 9:00〜17:00
休館日 火曜日(冬期間閉鎖)
入館料 一般310円、小・中学生155円、幼稚園等の団体50円/1名(団体20名以上で2割引)
公式サイト http://omigoto.vill.omi.nagano.jp/hijiri/hijiri_hak01.html

写真・文 : 堀越 英美

        
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堀越英美
子育てママ業を営みつつ、間隙を縫っておもしろ文章を産む機械、って書き方アレだけど、書けば自動的におもしろいのが、demiさんこと堀越英美さんであります。

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