滅法界に絵がうまいマンガ家・イラストレーターの寺田克也氏が描く、ただハラが減るだけの絵=空腹画の世界です。あらかじめ注意していただきたいのは空腹画をみてもハラは満たされないということ。ただ減るだけです!   ( 第1回から読む )

第13回 至福のレバーで生ビールおかわりです


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焼鳥って、最初に食べたのいつですかね?
と深夜考え始めてみた。
父親が酒がダメな人だったので、実家では家族で焼鳥屋とか居酒屋にいくみたいな風習はなく、食べたこともなかった次第です。マンガやテレビでその存在を知ってたくらい。食卓にもでてこないし。すると高校時代か。といっても高校時代も缶ビールを隠れて飲んだくらいで、焼鳥なんか食べてない。というわけで東京にでてきてからの専門学校生時代に、初焼鳥を体験してる筈だ。

初めてたらふくアルコール摂取したのも、その時初めてゲロゲーロしたのも、次の朝二日酔いだったのも、この時代であるからして、焼鳥を初めて食べたのもこの時代にちがいないのである。そしてそれはたぶん専門学校で初めて飲みに行った夜だと仮定されるんであるよ。初めて飲んだのは高円寺の「鯉作」だったかなー。「鯉作」に焼鳥がおいてれば、まちがいなくここだ。「鯉作」に焼き鳥がなかったら、えーっと、わかんないや。

普通に酒飲んでたそんな学生時代ですが、たいして強くないのを自分でまだ知らないのでグビグビ飲んではゲロゲロ吐いて頭痛で一晩中唸ったり翌日は起き上がれないほどの二日酔いだったりした。当人は実はアルコール分解酵素をそんなに多く持ってないのだった。父親ゆずりであった。
といいつつも、やっぱし若いのでついつい友達と飲むのだった。野郎の友達の部屋でふたりで一升瓶開けたりして、そして翌日は学校の教室の片隅に机を並べて課題もやらずに
学校終わるまで寝てたりした。

焼鳥は安いので、部屋飲みするときに買っていくのにいいのだった。
高田馬場の駅前裏通り商店街の外れの煙った焼鳥屋にがららっっとはいってって、常連さんにジロリと睨まれながら「すみませんー。持ち帰りで三人前お願いします」とおずおず言ったりして。一回目は常連さんと話してて「あ?なに?」とか言われて。「いや焼鳥を三人前、、、。」ってゆーと今度は「どれ?ハツ、レバ、砂肝、カシラ、ネギ。うちはいろいろあんだよ」とか言われて、じゃあもういいです、みたいな感じになりかかったら、カウンターのおかまさんが「マスターいじわるしないのっ。かわいい学生さんなんだから、ねえ?テキトーにスペシャル焼いてあげなさいよ」とかハスキーボイスで助け舟だしてくれて、ああ年配のイイおかまの人だーとか思いながら「どうも、ありがとうございます」なんつってペコリすると、じーっとこっちを見つめて「あんたおかまちゃんにモテるわよ。気をつけなさいよ。なんだったら他の野郎に犯されるまえにあたしが教えたげよか」なんつてゆわれて、あわあわしてるうち「ホラ焼けたよ!」って言われて、お金置いて「どうもさいならー!」と転げるように店を出るとかなんとか、青春だなあ。煙いけど。

とりあえずそっちの道に行くこともなく、青春のまっただ中に突如あらわれた焼き鳥。
貧乏な頃は安いつまみの代名詞みたいなとこあったけども、立派かどうかは置いといて年齢的には大人になりきっちゃった今、焼鳥屋というと3種類になってる。
高いけど、高いなりに旨い、なんかえらそうな焼鳥。
安いのに、旨い、そして居心地のいい焼鳥。
やっぱり煙い安くて、そしてほどほどに旨い雑然とした焼鳥。
なんか大人になりはじめで、そこそこ稼げるようになった時は、高くて旨い店に行って喜んでたりしたけど、それなりにいい感じにくたびれてくると2番目の安くて旨い店がいいわけです。
しかも居心地がいい。それなりに常連みたいな顔ができるとこ。ここが一番いい。

6つくらいしか椅子がなくてね。あっさりした店内だけど、殺風景じゃない。カウンターの中には若くて気のいいマスターが「あ、いらっしゃい」なんていいつつ箸置きと箸をカウンターに置きながら「今日はお仕事、終わられたんです
か?」とか言ってくるので、「いや、もうめちゃめちゃデッドラインで今晩中に送らないと落ちるみたいです」とか言いながら席について「とりあえず生ください」

もう若い頃とちがって自分が飲めないの知ってるので、生1杯だけで十分で。あと仕事あるし。
その1杯がまた美味いわけです。「今日もコースで」「ありがとうございます。コレお通しです」と
ササミが出汁に浸ってるのに三つ葉が乗って、これがまた旨くて。
1900円のコースは何かというと「レバー、ハツ、つくね、砂肝、鳥肉、小鉢」みたいな構成で美しい。
そんで最初に出てくるのがレバー。
この店のこのレバーが、なんというか、宇宙規模で旨い。
ほとんどレアで、絶妙に火が通ってて、粉山椒と唐芥子ちょいちょいとしながら三口くらいで夢中で食べてしまう。そして大抵コースの終盤に「マスター、レバーもうひとつお願いします」と言わずにいられないくらい、旨い。そんなレバーがあるこの店が、オレの焼き鳥人生終着駅だと言っていい。
とゆーわけでぎりぎり店に行ける時間なので、行ってきますね、あとヨロシク。
シクヨロ。

そんな美しいレバーの魅力を、iPod touch、iPhoneの絵描きアプリの定番
Brushes で描いてみましたよ。
すみませーん!生もうひとつー!

↓いきなりTシャツ化してみました
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http://teeparty.jp/products/list.php?mode=search&name=寺田克也

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画・文 : 寺田 克也

        
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寺田克也
漫画家・イラストレーター。海外でも阿佐ヶ谷でも有名な絵師。子供のころからの「うまくなりたい欲」は現在もとめどなく湧きだし、とにかく描くなんでも描くラクガキング。今回は「空腹画」をおすそわけ。

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