近年、サウナにとりつかれ現世に帰って来られなくなったとウワサされるマンガ家タナカカツキが、ついに軽い口を開きサウナについて語り出した。サウナに関する名言が読みたいナ、と思ったらサウナ道=サ道をどうぞ。   ( 第1回から読む )

第12回 風の道


サウナでもいろんな考え方があるんですよ。テレビを置く/置かない、座る場所に敷くタオルを持ち込ませる/最初から敷かれている……とかね。

テレビに関しては、僕も昔は「サウナにテレビがあるなんてナンセンス!」と思ってました。ニルヴァーナに「KAT-TUNツアー 赤西は不参加!」みたいな芸能ニュースなんて関係ないじゃないですか。精神修行の場に俗世のことを持ち込むなんて気が散るやん、て思てたんですよ。

でも、今じゃ全然ありですね。セッションのメインは水風呂もしくは扇風機です。だから、サウナではどっちかというとスーパー俗世でいい。

ほんとは雑誌読んじゃってもいいくらいですよ、雑誌持ち込みお断りのところも多いからダメなんですけど。サウナって僕にとってもっと神聖な場所だったはずなのに、そういうサウナに対する考え方も徐々に変化しましたね。

僕が蒸しZや毛蒸しくらいの世代になったらまた違うサウナ観が出てくるだろうし、それは楽しみにしているんですけど――だからまだ入り口に差し掛かったばっかりやと思います。「サ道」に気づいてまだ2年ですからね、今後もいろんな心境の変化が出てくるはず。奥が深いですから、「サ道」は。

サウナでやれることはまだまだある。けど、昨今、試行錯誤をサウニスト同士で分かち合う場がないな、と感じてたんですよね。僕は若手だから、特になかった。

ところが、この「サ道」の連載を始めてからというもの、「実はわたくしもサウニストです」というようなメールをいただけるようになりました。

どこそこのサウナがいいらしいという基本的な穴場の情報から、危うく死にかけた体験談まで、全国のサウニストが貴重なレポートを報告しあうフォーラムが生まれつつあります。

「『サ道』を読んで、苦手だったサウナが今は大好きになりました」ていう、うれしいメールもいただいたりします。

「サ道」はこれからもみなさまの期待に応えるべく、さらなるサウナの「道(タオ)」を極めていきたいと思ってます。もっとあほらしくなるまで!

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それで、あの、今回でこの連載をいったん締める、ということなので、最後になんか、まとまったことを言わなければならないかなと思てるんですが――僕のサウナ体験を顧みるとね、まずは、サウナに対しての一方的な誤解が解けることから始まり、サウナが好きになって、サウナはネーミングがあかん! 「マーブルボックス」にせえ! とか、そんなことを言ってましたね。

サウナですばらしい体験をし、サウナと水風呂の拷問にも似たセッションを先人達が好きこのんで繰り返してきたのは、これを経験するためやったんかとわかった。

そのセッションはうまくいくときもあれば、失敗もあった。世界のサーファーがビッグウェーブを待つように、緊張感と期待と畏れを抱きながら、うまくメンタルの大波に乗れたときの快感は、何ものにも替えがたいものがあった。

それが仕事にも健康にも良い形で跳ね返ってくるので、なおその道は開けていった。依存もした。そうとうのめり込んではみたけど、それが日常化すると、刺激も薄れ、穏やかな波がやってきて、大波にも期待したくなった。

僕にとってサウナはマーブルボックスじゃなくなって、ただのサウナになりました。今、サウナは特別な体験をしにいくところじゃないんです。「あなたはなぜ、サウナにいくのですか?」と問われれば、「それは気分がよくなるからです」と答えるのみ。

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サウナ。汗をたくさん出して、老廃物を身体から押し出すということもあるけど、まぁ言えば、新しい酸素を脳に送って「ああ気持ちイイ!」というだけのものなんです。

風呂の起源も知り、サウナは風だということにも気づきました。ここへきて、身も蓋もないことを言いますけども、「サ道」の道が最後はどこへたどりつくのかというと、サウナに行かなくてもいいっていうところ。朝起きて、窓を開けて、午前中の水分を多く含んだ真新しい風を体で感じる、ただそれだけでサウナに行ったことと同じになりたい――。

次回はジャグリングへの道「ジャ道」の連載で、どこかでお会いできることと思います。それまでみなさま、ごきげんよう! 長らくご清聴ありがとうございました!

タナカカツキ 2010年春

文 : テキトーエディター / 画 : タナカカツキ

        
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タナカカツキ
毎日サウナに通い、サウナの深淵をのぞくサウニストとしてのかたわら、なまじ絵がうまいためにマンガ家・映像作家としても知られる。ヒマというヒマを頼まれてもいないなにかの制作でぬりつぶす過活動家でもある。

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第1回 出会い
近年、サウナにとりつかれ現世に帰って来られなくなったとウワサされるマンガ家タナカカツキが、ついに軽い口を開きサウナについ
第2回 目覚め
近年、サウナにとりつかれ現世に帰って来られなくなったとウワサされるマンガ家タナカカツキが、ついに軽い口を開きサウナについ
第3回 導師(グル)
近年、サウナにとりつかれ現世に帰って来られなくなったとウワサされるマンガ家タナカカツキが、ついに軽い口を開きサウナについ
第4回 秘伝
近年、サウナにとりつかれ現世に帰って来られなくなったとウワサされるマンガ家タナカカツキが、ついに軽い口を開きサウナについ
第5回 学び
近年、サウナにとりつかれ現世に帰って来られなくなったとウワサされるマンガ家タナカカツキが、ついに軽い口を開きサウナについ
第6回 効用
近年、サウナにとりつかれ現世に帰って来られなくなったとウワサされるマンガ家タナカカツキが、ついに軽い口を開きサウナについ
第7回 受難
近年、サウナにとりつかれ現世に帰って来られなくなったとウワサされるマンガ家タナカカツキが、ついに軽い口を開きサウナについ
第8回 検査
近年、サウナにとりつかれ現世に帰って来られなくなったとウワサされるマンガ家タナカカツキが、ついに軽い口を開きサウナについ
第9回 距離
近年、サウナにとりつかれ現世に帰って来られなくなったとウワサされるマンガ家タナカカツキが、ついに軽い口を開きサウナについ
第10回 会話
近年、サウナにとりつかれ現世に帰って来られなくなったとウワサされるマンガ家タナカカツキが、ついに軽い口を開きサウナについ
第11回 風呂
近年、サウナにとりつかれ現世に帰って来られなくなったとウワサされるマンガ家タナカカツキが、ついに軽い口を開きサウナについ
第12回 風の道
近年、サウナにとりつかれ現世に帰って来られなくなったとウワサされるマンガ家タナカカツキが、ついに軽い口を開きサウナについ
第13回 湿で〆
近年、サウナにとりつかれ現世に帰って来られなくなったとウワサされるマンガ家タナカカツキが、ついに軽い口を開きサウナについ