滅法界に絵がうまいマンガ家・イラストレーターの寺田克也氏が描く、ただハラが減るだけの絵=空腹画の世界です。あらかじめ注意していただきたいのは空腹画をみてもハラは満たされないということ。ただ減るだけです! ( 第1回から読む )

第10回 カレー狂乱・夏


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始まりは突然でしたよ。
ともだちネットワークの日記に「松屋のフレッシュトマトカレー」という文字が
踊った、と思ったら燎原の火の如く、あれよあれよとゆー間にスッゴイ勢いで
日々このトマトカレーに関しての表現が増えていくではありませんか!

なのに「とんでもない」とか「びっくりした」とかの記述ばかりが多くみられて
全貌がなかなか見えてきません。うまいのか!まずいのか!どっち!?どっちなの!
これはもう食べてこないとダメだ!との思いに至り、オレはてくてく近所の松屋に
でかけていったのです。夏の日の事でした。

カレーといえば以前、カツカレーにあらずんばカレーにあらず、とアジったものですが
あれはうそです。カモメはカモメ、カレーはカレー、いつだってカレーライスは
オレのフェイバリットなのさ。
カレーというのは生まれてきた時から好きになる宿命の元に存在しておりますので、
オレももちろん物心ついた頃にはカレーを食べてました。
初めて食べたのはもちろんかあちゃんの手作りカレーですけども、日本家庭典型の黄色い、
小麦粉のトロミたっぷりのジャガイモにんじんゴロゴロカレーでした。
当然ウスターソースをかけて食べる。
うまかった。
うまかったんですけども、その頃のオレはカレー革命以前の、中庸なご家庭カレーを
愛する小市民的存在だったと言えます。
しかし革命は突然やってきました。

たぶん母親が買った雑誌だか本だかに「本格カレー」のレシピが載っていたわけです。
じっくりとたまねぎを炒めまくるところから始まる、そのレシピは、
SBカレー粉と小麦粉のカレーとは一線を画したまさに本格派とゆーか、
母親迷惑千万とゆーか。面倒くさいわ、そんな作り方、と最初は作成を拒んでいた母親も、
姉とオレとの執拗なプッシュで仕方ないわと呟いて、作ってくれたものです。
そしてそのカレーこそがわが家のカレー史でのフランス革命とも称される
逸品だったのです!(ここ音楽最高潮)

香りから見た目からすべてがこれまでのカレーとは違う!そして一口食べて衝撃!
広大なカレー世界への扉がその時オレの胃袋の中で開いたのです。
味が深い!濃い!美味い美味い!かあちゃんうますぎる!ぎょえ〜〜〜〜〜〜〜〜!
今も覚えてるその味を、ある意味超えるカレーには出会ってないと言えます。
それは革命だったから。
それまでのカレーが子供カレーだとしたら、これはアダルトカレー。。。。
これまでのカレーが1円だったらとしたら、これは1000円カレー。。。

なぜかその後、同じカレーをねだって作ってもらっても、最初の革命カレーを
超える味にはならなかったのは、うちの母親には内緒です。
しかしあの味は忘れない。

あれから30年以上の月日が流れ、オレの胃袋におさまったカレーの量も、ざっと
地球3周分は超えるでしょう。
うそですけど。
そんなカレーへの思いを胸に、松屋の券売機の前に立ったオレ。
「フレッシュトマトカレー・290円」て、やすっ!やっすう!
なんじゃこれは!と叫びながら100円玉を3つ入れて10円のお釣りを忘れずに取り、
店内のカウンターに座ったオレの前にでてきたのは、なるほど見るからに
トマトカレーなんであります。
そしてうまい。なるほど290円でこの味がでてきたら「びっくりした」に
なるな、と思いましたよ。
価格と味とのバランスが「とんでも」なかったわけだったのだった。
トマト好きのオレとしてはかなりど真ん中の味わいでありまして、この夏15回以上
食べた記憶があります。

しかし松屋はデフォルトでみそ汁がつくシステムでありまして、このカレーにも
みそ汁がついてきます。
このトマト味とみそ汁はさすがに合わないのですが、松屋のしきたり上、
カウンターに着くやいなやみそ汁が配膳されるのでして、
断るタイミングが非常にむずかしいモノで。
熟考の末、よし!着席直後に「みそ汁いらないから!」と言えばいいのだ、と
2度目のトマトカレーの時に心に決めて、チケットを握りしめて椅子に座りながら
「み」と発声したのですが、すでに目の前には湯気のたつみそ汁が!!!
速い!魔法か!負けた!

編集注:松屋のトマトカレーは季節限定メニューです。
冬場には食べられませんので、ご注意ください。

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画・文 : 寺田 克也

        
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寺田克也
漫画家・イラストレーター。海外でも阿佐ヶ谷でも有名な絵師。子供のころからの「うまくなりたい欲」は現在もとめどなく湧きだし、とにかく描くなんでも描くラクガキング。今回は「空腹画」をおすそわけ。

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