生き方のPROに聞くインタビューシリーズの始まりです! 生き方のPROって何? それはインタビューを読めばわかります。PROとしか!

1.やなせ流・楽しく生きるコツ


—— やなせさんはマンガや絵本はもちろん、シナリオや作詞を手がけたり、歌手デビューしたり、パーティーをプロデュースしたりと、幅広く活躍されていますよね。私たちはヒマつぶしサイトを運営してるので、そんなふうに毎日を楽しく生きるコツを教えてほしいんです。
fuki05
やなせ:そうだねえ、要するに僕は一芸に秀でていないのでね。あれやこれやとやって、どれでもトップにはならないんだけど、何とかこの世の中を暮らしてきた(註1)ということですね。僕はほとんど悲観しないというか、暗いほうに考えないんです。たとえば病気をすると「これは何かネタに使えるかな」と思うし。病院に入ってみると、医者やナースの激務みたいに、いろいろなことが分かる。それが興味の対象になって「勉強しよう」と思うんだよね。それで入院してベッドに入っていてもニコニコしているから、みんなが「元気そうですね」と言いますけど、本人は相当ツラい感じもある。

いまだって俺はあちこち悪いところだらけだし、年齢は90だし、どうしようもないんだよね。でも、落ち込んだってしょうがない。なるべくいいほうへ、明るいほうへ考える。「一寸先は闇」ではなく「一寸先は光」と思えば、いま辛くても何とかなるんじゃないかと。実際、そうなるんです。

僕がやっている仕事はマスコミの世界。これはもう芸能界と同じでね、昨日の人気者も今日は落っこちるという世界なの。だから、あまりひたむきにやっていると、必ずうつ病になる。

fuki03
yanase_photo
—— 必ず!
fuki06
やなせ:われわれの同業者ではけっこういるんですよ。ですから、そうならないように仕事以外のよけいなこと(註2)もするし、あんまり深く突き詰めて考えない。「今日を楽しむ」と考えていけば、何とかやっていけるんじゃないかな、と。それに、暗く考えれば全部暗いんだよね。「地球はどうなる?」とか。温暖化は進むし、南極・北極の氷は溶けて海面は上昇している。隣の国は核を持っていてミサイルをぶちこむ。それを考えると恐ろしい気持ちになるけれど、しょうがないんだよね。自分では抵抗することができない。

だから自分自身はこの一日を何とか楽しく暮らす。明日になれば、また明日。今日、明日、明後日くらいまで、何とか無事に暮らしたい。あまり遠い未来まで考えない。辛いことは全部忘れるようにするわけ。面白いこと、楽しいことだけを考える。

そうして周りの人に対しては、なるべく相手が喜ぶようにするわけです。たとえばうちに編集者が来て、「何日までに原稿を書いてください」と言ったら、その3日くらい前に、できるだけいい内容のものを持っていくようにするとか。

(つづく)

註1 どれでもトップにはならないんだけど〜
ご謙遜! 三越の包装紙のロゴ、「手のひらを太陽に」の作詞、手塚アニメ「千夜一夜物語」の美術監督、雑誌「詩とメルヘン」の編集など、やなせさんの功績は多岐にわたっている。詳しくは自伝『人生なんて夢だけど』(フレーベル館)で。
yanase_book
註2 仕事以外のよけいなこと
やなせさんはイベント大好き。架空の結婚式や病気全快を祝うパーティー、各種ミュージカルといったイベントを、時には自腹を切って主催している。

撮影: 永禮賢 / インタビュー・構成 : modern fart編集部

        
modern fart編集部
modern fart編集部(もだんふぁーと・へんしゅうぶ)

backnumber
1.やなせ流・楽しく生きるコツ
生き方のPROに聞くインタビューシリーズの始まりです! 生き方のPROって何? それはインタビューを読めばわかります。P
2.仕事をするうえで一番大切なこと
生き方のPROに聞くインタビューシリーズの始まりです! 生き方のPROって何? それはインタビューを読めばわかります。P
3.愛されるキャラクターを作る方法
生き方のPROに聞くインタビューシリーズの始まりです! 生き方のPROって何? それはインタビューを読めばわかります。P
4.アンパンマンと赤ちゃんをめぐる謎
生き方のPROに聞くインタビューシリーズの始まりです! 生き方のPROって何? それはインタビューを読めばわかります。P
5.マンガのいま・未来をどう見るか
生き方のPROに聞くインタビューシリーズの始まりです! 生き方のPROって何? それはインタビューを読めばわかります。P